先輩移住者

国内外での農業経験を経て都城へ。農地マネジメントに挑戦中

2023.11.13公開

鹿児島大学農学部を卒業後、国内外で農業に携わってきた亀澤さん。コロナ禍で地元・宮崎市に戻った後、新たな農業人生を歩むべく都城市に移住しました。現在は今まで経験してきたことを畑で実践しつつ、農地マネジメントという新たな領域にチャレンジしています。

亀澤 圭さん(29歳)
  • 先輩歴|2021年11月移住
  • 職業|会社員
笑顔が素敵な亀澤さん。移住するまで、都城市にはほとんど行ったことがなかったそう

笑顔が素敵な亀澤さん。移住するまで、都城市にはほとんど行ったことがなかったそう

宮崎市の高校を卒業後、鹿児島大学農学部に進学した亀澤さん。卒業後は「もっと世界の農業を見てみたい!」と公益社団法人を介して渡米し、1年半の研修を終え帰国。その後、香川県や宮崎県内で就農していましたが「フィールドワークではなく、農地をマネジメントしながら土壌や農薬のことを学んでみたい」と転職を考えるようになりました。たまたまそのタイミングでよく耳に入ってきたのが「今、都城が熱い!」という話。ネットでリサーチしてみたところ「農業生産法人イシハラフーズ株式会社」に辿り着き、「ここならやりたい農業が実現できる」と感じて移住を決意しました。

Q そもそも、なぜ農業に興味を持ったのですか

実家は宮崎市なのですが、隣の小林市で叔父が農業をしていて、幼い時からその手伝いをするのが楽しくて!自然の中で身体を使うことが好きだったこともあり、徐々に農業の世界に惹かれていきました。大学在学中にミャンマーやブラジル、韓国の農業を視察したことをきっかけに、“世界の農業を体験してみたい”という気持ちが高まり、卒業後はJAEC(※)を介してカリフォルニアの農場で働きましたが、農場自体の広さや機械の大きさなど、その規模感に圧倒されました。帰国後は香川の農業生産法人に就職したのですが、コロナ禍で故郷への思いが募り、6年ぶりに宮崎市に戻りました。
※公益社団法人国際農業者交流協会。就農を志望する若者の海外派遣や、開発途上国の農業研修生の受け入れなど、農業者レベルの国際交流の促進を図る団体

カリフォルニアでの研修時代。各国から集まった研修生たちと

カリフォルニアでの研修時代。各国から集まった研修生たちと

Q ご実家のある宮崎市からなぜ都城に?

宮崎市に帰ってきた頃から、やたらと「都城が熱い!」という話を耳にするようになったんです(笑)。もともと都城は農業が盛んな土地とは知っていましたが「ふるさと納税がスゴイ!」とか「新しいお店がたくさんできていて活気がある!」とか「行政の対応がすごくいい!」とか、不思議なくらい行く先々で都城のことが聞こえてきて(笑)。
そこで都城市の農業について少し調べてみたところ「スイミー都城」(※)を知りました。興味を持って問い合わせてみると、いくつかの農業生産法人を紹介していただけて、その中に今勤めている「イシハラフーズ」があったんです。当時、私の中に “これまで畑でのフィールドワークは経験したので、これからもっと農薬と土壌について学んでみたい!”という思いがありました。「イシハラフーズ」はそこを理解してくれたので入社を決め、都城市に移住しました。
※宮崎県の北諸県地域(都城市&三股町)の農業者と行政機関が連携し、各々が抱える経営課題を共有し、集団の力を活かして課題の解決を目指す組織

右はイシハラフーズ社長の石原祥子さん。「好奇心旺盛で新しいことに軽やかに挑戦していく社長の姿にいつも刺激をもらっています」と亀澤さん

右はイシハラフーズ社長の石原祥子さん。「好奇心旺盛で新しいことに軽やかに挑戦していく社長の姿にいつも刺激をもらっています」と亀澤さん

Q 実際に都城市に暮らしてみた印象は?

知り合いが一人もいないまま、ひとりで移住してきたのですが、今の会社は経営者が女性で組織もすごく風通しがいい。社員も女性が多く、みなさん元気に活躍していて、温かい人ばかりなのですぐに馴染むことができました。
今の仕事は畑のマネジメント。どの畑に何を植えるか計画をしたり、野菜に病気が出た時の対応などのジャッジをしています。これまで何を学んできたんだろうと思うほど、今の仕事で学ぶことが多く、学べる環境に感謝しています。

仕事で畑を巡回している時に、ふと森の中に木漏れ日が差し込んでキラキラしているのを見たりすると「なんてキレイなんだろう!移住してきてよかった〜」と幸福感が募ります。都城の四季折々の美しさは住めば住むほど実感できますし、小さな幸せが常に転がっているように思えます。とはいえ、ここは“ほどよく都会”でもあるので、休日におしゃれな雑貨店やカフェを巡るという過ごし方も楽しめています。都城は“田舎過ぎるのも嫌、都会過ぎるのも嫌”という人には絶好の移住先。初めて移住する人にとってはハードルが低い土地だと思います。

木立をぬけて毎日畑へと向かう

木立をぬけて毎日畑へと向かう

毎日、作物を観察しながら畑を巡る。1日の歩行数は1万5000歩〜2万歩!

毎日、作物を観察しながら畑を巡る。1日の歩行数は1万5000歩〜2万歩!

ジョギングや読書、料理など、多趣味で何事にも積極的な亀澤さん

ジョギングや読書、料理など、多趣味で何事にも積極的な亀澤さん

Q これからの目標を教えてください。

とてもシンプルなのですが「自分でつくった野菜を自分で料理して、大切な人たちに振る舞って食べる」というのが、私が描く幸せのカタチなんです。世界の平和も個人の幸せがあってこそ!まずは自分が幸福感で満たされ、そして身近な人も満たして…と、幸せの輪を広げていけたらいいなと。都城には人と人が助け合うのが当たり前という気質があるので、ここなら叶えられそうな気がします。とはいえ、まだヨーロッパの農業も知らないから行ってみたいな〜と思ったり…、まだまだやりたいことは尽きません(笑)。

Editor’s note!

自分が興味を持つこと、学びたいことに向かって迷うことなく進んでいく亀澤さん。都城に移住したことで、それまで培った知識や経験が徐々に実践の場で活用できて、ますます農業の奥深さに魅了されている様子です。取材前は「友人や知人がひとりもいない場所へ女性ひとりで移住というのは多少ハードルが高くない?」と思っていましたが、会社とのマッチングもよく、温かい人たちに囲まれた日々は亀澤さんにとって学びと幸福の連続。目標を持ってまっすぐに飛び込んでくる移住者を大きく、優しく受け止める都城の深い懐が、彼女を包み込んでいるように見えました。